第56章 デザイン界へ再び戻る

有川紘樹はドアノブにかけた手を、結局そっと引っ込めた。中に入ってまで邪魔をする気にはなれなかったのだ。

ほどなくして、有川菜央は佑奈の腕の中で眠りに落ちた。

小さな顔はくしゃりと皺を寄せ、身体はすっぽり佑奈の胸へ丸まっている。佑奈の服の裾をぎゅっと掴んだまま、放そうとしない。

佑奈はその様子を見下ろし、ゆっくり眉をひそめた。

この子は驚くほど紘樹に似ている。けれど、目元と眉のあいだに、確かに自分の面影も混じっていた。

眠っているときは、起きているときの我が儘さや尊大さが嘘みたいに消える。しんと静かで、見ているだけで胸がゆるむ。甘い綿菓子みたいに。

――それでも佑奈は知っている。

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